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シンシウエニシ徒然草々


Diary-2007/08/22
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ヒメジオン


大学の駐車場の土手にヒメジオンが咲き乱れていた。

私はその土手で山菜を探していた。
美味しいものは、スーパーにあるとは限らない。
土手にあるとも限らないが。

暫く遊んでいると、土手のヒメジオンを摘んでいる女性に気付いた。
なんと絵になる光景か。
年若い女性が、野で花を摘む情景は、物語やドラマの中では頻繁だが、実際には稀有なシチュエーションだった。
野で花を摘む女性がいるとすれば、仏華を集めているおばあちゃんぐらいだ。

私はなんだか嬉しくなって、ヒメジオンを摘み終わり、道路に出た女性に話し掛けた。

「こんにちは、それ食べるの?」

まさか食べるはずはないと思ったが、山菜が頭にあったのでとっさに、頓珍漢な台詞をこぼしてしまった。
教祖一生の不覚。

「たべませんよ〜。花瓶に飾ろうと思って。」

綺麗な笑顔と共に模範解答な美女。
声までもが麗しい。

「何をとってたんですか?」

「今晩のおかずをちょっと。」

「へえ〜、こんなところに山菜があるんですね。」

こんな感じで、私達は歩きながら少し話した。
久方ぶりの女性とのまともな会話は、私に幸せな一時を与えた。

その後、研究室でニヤニヤしている私は理由を聞かれもしないのに、信者の皆さんに説明をして回った。
彼等は、良かったね、とため息をついて私を見るのだった。

どうやら私の幸せを理解できないらしい。
彼らの心はもう汚れてしまっているのだ。
教祖として、彼らがこの喜びを理解できるように導かなくてはならない。
彼等は幸せに多くを望み過ぎている。
些細なことでも幸せは幸せだと思い出してもらおう。
まん丸教は、年若い女性と軽くお話しするだけで幸福になるための宗教として存在しているのだから。


ではまた ごきげんよう。


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