カレー


棚の上にタマネギが2個鎮座していた。

夕方、秋刀魚を焼くために海に行こうとしたが、
「疲れるから、いいや」
と相方が拒否した。
秋刀魚を買ってきたのは相方で、秋刀魚を家で焼くと、臭いと文句を言うのも相方だ。
いったいどうしろ言うのだ。
とんちか？とんちを求めているのか？
戸惑う私。
そして、まるまると脂ののった秋刀魚は刻々と腐っていく。

良いとんちもなく、私が秋刀魚を腐らせ、海洋資源を無駄に消費することを強行に反対したので、仕方なく家で焼くことになった。

フライパンで秋刀魚を焼く時に使うクッキングシートが無くなっていたので、ジャスコに買いに行った。
クッキングシートを使うと、後始末が楽なので欠かせない。
後でアルミホイルでも良かったと気付く。

8時半のジャスコは、値引きの嵐だった。
半額どころか、4分の1に値引きされている食品がざらにある。
グラム87円の挽肉も半額だったので、思わず買った。
すると、何時の頃からか、タマネギが家にあることを思い出した。
今晩は、秋刀魚の塩焼きとカレーだ。
違和感を覚えないでもないが、違和感の正確な意味は辞書を引かないと説明できないことに気付いたので、問題はない。

人参とこくまろカレーも買って帰り、さっそく秋刀魚4匹をクッキングシートを敷いたフライパンで焼いた。
弱火でじっくりと焼き上げる内に、脂が思いの他たくさん出てしまい、非常にギトギトした塩焼きになった。
秋刀魚は網焼きに限る、と私達は結論した。
今度からは、焼いた秋刀魚を買って来よう。海に行かなくても済む。
私達は日々賢くなる。

秋刀魚を食べ、頭や骨の食べカスを厳重に封印して処理した後、いよいよカレー作りに取り掛かった。
ガスコンロが一口しかないので、一緒には作れなかったのだ。

カレーは時間が掛かる。
肉と野菜を良く煮込んだ後にルーを入れて更に煮込まなければならない。
学生は、金はないが時間はあるので気にしない。
30℃を超えるキッチンで鍋をかき回していると、秋刀魚を食べたせいか睡魔が襲ってきた。
相方はもう寝ている。
ルーを投入して、弱火にすると後15分で完成だ。
私は少し涼むために、クーラーの効いた自室に入った。

気付くと朝の6時だった。
慌てて鍋を覗くと7時間以上煮込まれた、暗黒物質があった。

「Nooooooooo！」
閑静なアパートに私の叫びが木魂す。

食べ物を粗末には出来ない。
美味しくいただこう。


ではまた　ごきげんよう。