カウンター

シンシウエニシ徒然草々


Diary-2007/08/09
Index 日記 画像 リンク



前へ もくじ 次へ


夜光虫


秋刀魚を焼きに浜辺にいった。

脂っこい魚を家で焼くと臭いが強いので、いつも海で焚き火をする。
浜辺には石がまったくないので、砂で囲いを作り、その中に太くて燃えにくい木を二列に並べ、その間で薪を燃やして焚き火にする。
バーべキュー用の木炭は、実は火が付き辛いので使わない。
火が強いうちは、網焼きは出来ない。
炎に生ものをあてても煤が付くだけで火は通らない。
暫く待って、薪がほとんど炭になり、真っ赤に色づいた頃合で並べた太い木に網をのせる。
火が炭になると、煙も減るので焼きやすい。

網の上に置いた秋刀魚から油が滴って、その度に炭から炎があがった。
一度に3匹ずつ、6匹の秋刀魚を焼いた。
外で食べる焼き立ての秋刀魚は格別である。
美味い。美味い。と連呼しながら、舌鼓を打った。
お金は掛からないが手間が掛かる食事だ。
ある意味贅沢である。

沖には今日もイカ釣り漁船が100艘近く一列になって並んでいた。
波打ち際に行って、手を洗うためにばしゃばしゃすると、手元がいくつも光った。
「夜光虫だ!」
先日はまったくいなかったのに今日はいっぱいいる。
水着は持ってきていない。
「裸で泳ごうか?」
暗闇で誰もいないので、粗末なものを晒した罪で捕まりはしない。
「水中眼鏡も、タオルもないよ。今日はやめておこう。」
「次はいないかもしれないよ。」
「仕方がないよ。水中眼鏡がなければ、水の中じゃ見られないし。」
結局、私たちは夜光虫を諦めた。

夜光虫はプランクトンなので、小魚の餌になってしまう。
だからいつでもいるものではない。
それに、夜中にあんなに光っていれば食べてくださいと言ってるようなものだ。
何故光っているのだろうか。

彼等は輝きながら叫んでいるのかもしれない。
「例え食べられようとも、私は輝きつづける。それが私だ。
我が生涯に一片の悔いなし!」
プランクトンの癖に流星のような生き様。
夜光虫は今日も波頭で輝きつづけ、そして食べられる。

格好良すぎるぞ、夜光虫。
さようなら、夜光虫。


ではまた ごきげんよう。


前へ もくじ 次へ