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シンシウエニシ徒然草々


Diary-2007/08/02
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蟻が地面を一匹で進んでいた。

黒く小さな蟻だった。
灼熱のコンクリートの上を黙々と歩いてる。
斥候なのか、迷ったのか、近くに仲間はいない。

おそらく、蟻の体温は恐ろしいことなっているはずだ。
近くに水場は無い。
彼は生きて、巣穴に戻ることが出来るのだろか。
今、生死を賭けて彼は前に進んでいるのかもしれない。

「台風じゃー!ふうーっ。」

私は彼を吹き飛ばした。
生死を賭けて前に進んでいるかもしれないことに男気を感じたからだ。
昆虫の分際で、私より男前かもしれない蟻に、私は嫉妬した。
彼を生かしておくことはできない。
台風による追撃を続け、駐車場の真中まで吹き飛ばして私は去った。

踏み潰すことはしなかった。
困難をものともせず前に進み、そして生き残るか、道半ばに果てるのか。
これは男前の蟻と、私の賭けだ。
踏み潰せば、勝負に勝って、心で負けてしまう。

目を離した後、蟻がどうなったかは分らなかった。
死んだのか、生きているのか、確かめるすべは無い。

蟻に勝ちたかったのか、負けたかったのか、私は分らなくなった。
分っているのは、男前なら蟻でも嫌いだということだ。

男前は嫌いだ。
私の隣に来るな。あっちへ行け。
ジーパンが破れていても、様になるとはどういうことだ。

男前は嫌いだ。


ではまた ごきげんよう。


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