武装まん丸教


まん丸協議会において、まん丸教によるテロをどのように起こすかが議題になりました。

「遅々と進まない信者獲得作戦ですが、ここらで教団そのものの知名度を上げるために、打って出ようと思います。」

「教祖、テロを起こせば全国放送でニュースになり、一躍有名になれます。」

「テロといえば、自爆テロですが、信者の数が少ない今、誰も失うわけには行きません。
毒ガス散布か、生物兵器散布が現実的です。」

「それでは、オウム以上のことをしないと、インパクトに欠けます。」

「毒ガスは、扱いが難しく、金銭的によろしくありません。」

「悪臭公害と、その腐敗でのバイオハザードをねらって、牛乳をぶちまけるのはどうでしょう。１リットル１５０円ほどで手に入ります。」

「なるほど、牛乳テロですか。考慮に値しますね。語呂も良い。」

「社会保険庁に牛乳タンクローリーで、体当たりを仕掛けるのはどうでしょう。」

「ただの事故と変わりませんね。世界をアッと言わせるインパクトが無い。」

「テロといえば、ゲリラ戦術が基本ですから、その常識を打破したいですね。」

「体当たり戦術は、９.１１以上のことは出来ないでしょう。」

「ならば、正規軍の戦術に則って、初手は空からの攻撃というセオリーを守りましょう。」

「なるほど、宗教テロによる初の首都空爆ですね。」

「首都空爆。なんと甘美な響きでしょう。」

「最も少ない予算で考えると、モーターハンググライダー５機を購入し、それぞれに牛乳１０ガロンを搭載、隅田川堤防から離陸、国会議事堂に牛乳爆弾による強襲をかけるのが限界です。」

「素晴らしい作戦です。
日本の中枢である国会議事堂が牛乳塗れになれば、世界はその恐怖に慄くでしょう。」

「「「「起てよ、まん丸同士！
戦え、まん丸戦士！　ジークまん丸！　ハイルまん丸！」」」」

「教祖、問題があります。
我々の誰一人、ハンググライダーを操縦できません。」

「モーターハンググライダーも一機400000円します。
予算オーバーです。半額でも買えません。」

「仕方がありません。この作戦は一時、凍結します。
中止するには惜しい作戦です。」

「教祖、テロリズムでは大衆の支持を得られません。
武装宗教は、反社会的で迷惑この上ない集団と評価されます。
有名になっても、オウムのようにジリ貧に追い込まれる公算が高いと考えられます。」

「武装蜂起、武力革命を企てるなら、明確なビジョンと、政治力、政情不安がないと無理です。
作戦は中止すべきです。」

「信者みなさん、人間は生まれながらに戦闘民族です。
戦うことに理由など無いのです。
勝利も、名誉も、戦利品も、家族も恋人も、戦うための理由です。
戦わざる得ないから戦うのではありません。
戦うために戦うのです。
あの孫悟空だって、そう言っています。そして、人気者です。
テロも、テロのためにテロを起こすのです！何も求めてはなりません！」

「教祖、何と言われようとも、お金がありません。
テロは中止します。」

「議長！　私が教祖だぞ！？　議長！」

「一部、不服な人がいるようですが、協議会を閉会します。」

「議長！」

教祖の地位が、本当に低いまん丸教です。


ではまた　ごきげんよう。