シンシウエニシ徒然草々
Diary-2007/07/20
葛藤
ルームメイトに誘われて、美味しいラーメンを食べに行きました。
彼によると、そのラーメン屋さんのラーメンこそが世界一のラーメンと言っても過言ではないとのこと。
食通の彼がそれほどまで言うからには、美味しいに決まってます。
教祖の期待も高まります。
店に入ると、私は嫌な臭いを感じました。
ルームメイトは、何も感じてないようです。
注文を済ますと、彼は、友人に美味しいもの食べさせて喜ばせることが出来る確信に上機嫌です。
このような顔の彼に連れて行ってもらった店で、美味しくなかったことは無いので、最初の不安も無くなりました。
そして、ラーメンが出てきました。
彼は、めちゃくちゃ笑顔です。
私もつられて、笑顔です。
私は、おもむろに箸を割ると、世界一のラーメンを掬い上げ、麺をすすりました。
美味しくありません。中の下です。
納豆の風味に良く似た感じがするのです。
私は納豆がまったく食べられないので致命的です。
即座に、上機嫌な彼への返答のシミュレーションに入りました。
まるく収めるのなら、
「マジうめー!」
と、驚愕と歓喜を演出すれば済みます。
しかし、何を食べても美味しいとしか言わない人は、きちんと評価を教えてくれない調子のいい人として、信用されません。
率直な人間という評価を失います。
今後のことを考えると、損失は馬鹿になりません。
「ごめん、美味くないっす。」
と言えば、彼の面目丸つぶれで、非常に気まずくなります。
誰の責任でもないのに、皆が不幸になります。
彼は、調子を合わせないことに対して、怒り出すタイプの人間ではないのですが、テンションが下がることは確実です。
二者択一の状況で、どちらも下り坂の場面です。
現実を見たくありません。
逃避先に、ことの原因へと意識が向きました。
それは、二人の味覚の違いが引き起こした不幸です。
彼は納豆が大好きで、私は大嫌いです。
おのれ、納豆め。
私のエンゲル係数だけでは飽き足らず、人間関係まで悪化させようというのか!
何処まで、私を苦しめれば気が済むのか。
お前は、悪魔の食べ物だ!
そんなことを考えている間、私はフリーズしていたので、もう、美味しいというリアクションが出来るタイミングを逃していました。
納豆なんか、大嫌いです。
ではまた ごきげんよう。