シンシウエニシ徒然草々
Diary-2007/07/25
雨色
アメンボが稲の隙間をぬって、水の上を滑っていました。
アメンボの名前の由来は、飴の匂いがすることだそうですが、カメムシの仲間のくせに生意気です。
なにより、飴の匂いって言われても、飴固有の匂いなんて、そんなんあったっけ?という感じです。
ハッカ飴やのど飴、黒飴、その他味つき飴の匂いではなさそうです。
おそらく、鼈甲飴のことだとは思うのですが、味は知っていても、匂いは覚えていません。
とことん謎なアメンボの匂い。
捕まえて、においで見るしかありません。
じりじりと照りつける太陽の下、25を超えたおっさんが微妙に手の届かないところにいるアメンボを凝視しながら、道端にしゃがみこんでいます。
買い物袋をもったおばさんが、後ろを通り過ぎていきました。
彼女はマイバックではなく、スーパーのビニール袋を下げていました。
私もマイバックはもっていません。
暫く我慢していると、手の届く範囲にアメンボのジョニーがやってきました。
マイク・デェヴィスとケイトは、近寄ってきません。
というか、ほとんど動きません。
短い一生なんだから、もっとはっちゃけろよ!と私は毒づきます。
ジョニーだけが目の前で、行ったり来たりしています。
私は素早い動作でジョニーを捕まえました。
流石に驚いたマイクとケイトが、慌てて逃げていきます。
ジョニーは見捨てられました。
「ジョニー、きっとその内、いいことあるよ。」
私は右手のジョニーに慰めを言いました。
そして、捕まえたジョニーの匂いをかいでみました。
特に匂いなんかしません。
田んぼの水の生臭さだけです。
あまりに拍子抜けしたので、もしかしたら、飴の味を覚え間違えたのかと、舐めてみることにしました。
甘かったら面白いなと思いながら口に含んでみます。
アメンボのグロテスクな舌触りはしますが、味もありません。
まさか、噛み潰さないといけないのか!?
幾ら私でも、それは避けたいので、仕方なくジョニーを解放しました。
ジョニーは、唾液まみれで田んぼの上を滑っていきました。
元気でね、ジョニー。
結局、アメンボの謎は謎のままでした。
家に帰ってから、アメンボについて調べてみると、匂いのするものとしないものがいるらしいことが分りました。
今度はマイク・デェヴィスとケイトを捕まえて、試してみなければなりません。
友達を見捨てた薄情者ですから、きっとにおう奴らに決まってます。
このことは信者達には秘密です。
また、その辺のものをほいほいと口に入れるなと怒られるに決まってますから。
ではまた ごきげんよう。